写真:中島 光行 ©Nakajima Mitsuyuki

写真:中島 光行 ©Nakajima Mitsuyuki
朽ちゆく美を宿す、
時間の表情
錆竹とは、竹の表皮を長い年月にわたって風雨や日差しにさらし、自然な風化によって褪色と変色を促した、枯れた風合いを持つ竹材です。「胡麻竹」とも呼ばれることもあります。
その色合いは、明るい金茶から濃い灰褐色まで様々、鉄が時間とともに錆びて味わいを深めるように、竹もまた時の流れとともに独特の美しさを纏います。そんな思想から名づけられたのが「錆竹」です。
錆竹は、新しい竹をすぐに加工するのではなく、数年単位で屋外に晒し、風雨と太陽の光に任せてゆっくりと表皮を変化させていきます。塗装や薬品処理は用いず、あくまで自然の力によって「朽ち」を引き出す非常に手間と時間のかかる工程です。

錆竹を作るには、竹の成長時に先端部分を切り取る処理を行います。また、劣化が進みすぎて竹が割れてしまうため、日射と雨のバランスなど細やかな観察と選択の積み重ねが、錆竹の質を決めていきます。
晒す期間や環境によって、色味や風合いの出方はすべて異なります。節の周りにだけ濃く色が残るもの、全体が渋く褪せたもの、表皮がごく薄く剥がれて質感にマットさが出たものなど、いずれも一点物のような存在感があります。
錆竹の活きる空間
数寄屋建築や茶室といった和の空間はもちろん、最近では現代建築や店舗空間でも「素材の静けさ」や「時間の深み」を求めて使われることが増えています。落ち着いたトーンの色合いは、空間に柔らかい陰影を与え、派手さはなくとも確かな存在感を残します。完璧さではなく、余白や揺らぎの中に美を見出す日本的な美意識を表すともいえます。



京銘竹でつくる、建築資材の選択肢
一口に竹と言っても、その種類は極めて多く、風合いもさまざまです。横山竹材店では 形も角平、丸と各種取り揃え、あらゆるデザインや施工場所のニーズにお応えしております。