写真:中島 光行 ©Nakajima Mitsuyuki

亀甲竹 亀甲竹 京銘竹ができるまで

写真:中島 光行 ©Nakajima Mitsuyuki

1 竹林管理

京銘竹の品質は、竹林の育成段階から決まります。竹が真っすぐに陽に向かって成長するよう、竹林の整備から始まります。竹は1日で1m以上も成長する植物として知られており、密度管理が品質に大きく影響します。適度な間隔を保つことが重要で、「傘をさして歩けるぐらい」の密度を維持することで、竹は陽光に向かって成長し、質の高い材料となります。この適切な間引きにより、個々の竹が十分な陽光と栄養を受けて、繊維密度の高い強靭な竹材に成長するのです。

2 角竹の育成

京銘竹の中でも角竹は、自然の丸い竹を人工的に四角形に成形した特殊な竹材です。茶室の床柱として使われる「図面角竹」に代表されるように、その独特の形状と美しさから、日本建築において格調高い素材として重宝されています。

角竹

四角形の角竹を作るには、竹の成長段階で加工を施します。若い竹が柔らかいうちに、専用の木型や竹型を使って四角形に成形し、そのまま成長させることで自然に角のある竹に育てます。竹は成長が早いため、型をはめるタイミングが重要で、竹の節の位置や成長の勢いを見極めながら行います。型をはめた後も竹は成長を続けるため、定期的に型の調整が必要です。この工程には数ヶ月を要し、職人の細やかな観察と手入れによって、美しい角竹が完成します。

3 青竹洗い

伐採した竹は表面に汚れが付着しているため、ブラシを使って洗浄します。この工程は京銘竹の品質を決める重要な作業です。特に節の部分は汚れが溜まりやすく、丁寧な洗浄により竹の表面に付着した汚れや不純物を完全に除去し、後の加工工程での美しい仕上がりを実現します。

4 油抜き

竹の表面には天然の「油」という保護膜があり、これが水をはじく性質を作っています。
油抜きの工程では、弱火でじっくりと竹を火であぶり、表面に浮き出てきた油分を拭き取って除去します。この作業で竹に美しいツヤが生まれ、同時に水分も飛ばして硬く丈夫な素材に変えます。

5 天日干し

約2週間の天日干しで竹の水分を除去します。直射日光による自然な褪色を利用して、表面の葉緑素を徐々に抜き、青竹から美しい白竹の色へと変化させます。この色調変化こそが京銘竹特有の美しさの源となり、人工的な漂白では決して再現できない自然な風合いを生み出すのです。
職人は天気を見極めながら乾燥度合いを調整していきます。雨の日は屋内に取り込み、晴天が続く時は適度に日陰に移すなど、細やかな管理が美しい仕上がりを左右します。

6 矯正

天然の竹は自然に曲がりやねじれが生じるため、火であぶりながら竹の状態を見極め、適切な力を加えて真っ直ぐになるよう矯正します。力加減が最も難しく、無理に力を加えると亀裂が入ってしまうため、竹の温度や柔軟性を手で確かめながら作業を進めます。

一本の竹を完全に矯正するには、数回に分けて少しずつ曲がりを直していく必要があり、この工程により、美しく材料としても価値の高い京銘竹に仕上げます。長年の経験に基づく職人の技術と感覚が不可欠な工程です。

7 加工処理

用途に応じて裁断や各種加工を施します。建具材には「柾割まさわり」、装飾材には半割りや背割りなど、目的に合わせた切り分けを行います。写真の「柾割」は竹の繊維に沿って縦に割く技法で、強度を保ちながら薄い板状にできます。

防腐処理や不燃加工などの特殊処理も施します。これらの処理により建築基準法にも対応し、伝統的な美しさと現代的な機能性を両立させた京銘竹として完成させます。こうして長い工程を経て、京銘竹が現代に受け継がれているのです。

京銘竹でつくる、建築資材の選択肢

一口に竹と言っても、その種類は極めて多く、風合いもさまざまです。横山竹材店では 形も角平、丸と各種取り揃え、あらゆるデザインや施工場所のニーズにお応えしております。

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貼るだけで施工できる和風内装材として

横山竹材店では、京銘竹をボード状に加工した製品も開発しています。従来の一本竹では難しかった大面積の施工が可能になり、工事現場での取り扱いも格段に向上しました。

白竹、胡麻竹、錆竹など、京銘竹の各種類に対応したボード製品を豊富に取り揃えており、用途やデザインに応じて選択できます。天井材、壁材、建具材として幅広く活用でき、伝統的な竹の美しさを現代建築に手軽に取り入れることができます。

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竹籠や茶道具に

京銘竹は、茶室や庭園といった特別な場だけでなく、竹籠や茶道具など日々の暮らしに寄り添う道具においても、その真価を発揮します。一本ごとに異なる竹の表情を見極め、最適な加工を施すことで、道具に求められる強さと美しさを兼ね備えた素材へと生まれ変わります。

古くから農具や日用品に用いられてきた「やたら編み」は、竹を自由に交差させることで独特の強度と表情を生み出す編み技法です。その素朴でありながら力強い美しさを現代の暮らしに活かすべく、当社では椅子をはじめとした家具やインテリア製品の開発に取り組んでいます。

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