施工事例

大津垣

大津垣

大津垣

大津垣は、竹垣の中でも落ち着いた印象を持ち、格式のある数寄屋庭園や茶庭などで用いられる伝統的な垣根のひとつです。竹を縦方向に並べ、押縁と呼ばれる細い竹で両側から挟み込むように固定する構造が特徴です。シンプルながらも整然とした美しさがあり、庭の背景を静かに引き締める存在として重宝されています。

名称の由来については諸説ありますが、滋賀県大津の地で多く用いられたこと、または大津に由来する造園技法と関連しているともいわれています。茶道の世界においては、「目立たぬ美」を体現する構成要素の一つとして重んじられてきました。

使用される竹材は主に青竹で、経年によって少しずつ色合いが変化し、庭全体に馴染んでいきます。押縁には細く割った竹が使われ、結びの位置やバランスにも職人の丁寧な手仕事が表れます。施工の際には、真っ直ぐな竹を揃え、わずかな歪みも抑えるための調整が欠かせません。

大津垣は、単に敷地の仕切りや目隠しとしての機能だけでなく、背景に徹しながら庭の構成を整え、周囲の植栽や景石、建物の意匠を引き立てる“静かな主役”ともいえる存在です。その控えめな表情の中には、日本の美意識や職人技が詰まっています。

天然竹垣の種類について

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