宗箇垣
宗箇垣は、武家茶道の流派である「上田宗箇流」に由来する、格式高い竹垣の一種です。上田宗箇流は、広島藩浅野家の家老上田家に伝わった武家茶道の流れで、その茶道の精神性や美意識を反映した庭園構成や茶室の設えに特徴があります。
宗箇垣は、上田宗箇流の茶室や庭園に設けられることが多く、武家の格式を感じさせる厳格さと繊細さを併せ持ったデザインが特徴です。竹の節の揃え方や組み方、縦横のバランスなどに細かな配慮がなされており、単なる仕切りとしての機能を超えて、茶庭の美学を体現する重要な要素となっています。
この垣根は、茶室を訪れる客人に上田宗箇流のもつ武家茶道の精神性や格式を伝える役割を持ち、庭園全体の品格を高めるだけでなく、茶室内での一連の作法と心の通い合いを促す空間づくりにも深く関わっています。
また、宗箇垣は竹材の選定から施工方法まで伝統的な技術が継承されており、その細やかな職人技は日本庭園や茶道文化の奥深さを象徴しています。垣根の見た目はシンプルでありながら、見る者に静謐な印象と精神的な安定感を与え、訪れる人の心を落ち着かせる効果も期待されます。