伊助のよもやま話
プロの知識 新年を迎え、小正月もなんとか過ぎ、よい天気が続き、全くいい年の始まりだった。 今日一日も無事にと、のんびりしていると、女子大生が一人で店に入って来た。竹の研究をしているので、色々と竹について聞かせて欲しいとの事。 正直、内心はめんどくさいな……と思いつつ、「いいよ」と返事をした。 京都芸術大学の学生で、北海道小樽出身だそうだ。 先ず、日本中に竹の生えていない所はないよと話すと、北海道で竹を見たことがないと言う。 北海道にも竹は生えている。雪が降るのでその重みで竹が曲がり、埋もれて見えない。 その竹を「根曲がり竹」という。春になり雪が解けると、すぐ切り取られるから目にすることがないのだ。 雪に耐えられるくらいだから、竹の中でも強くて、なかなか折れない。その特性を利用した形で使われている。 このように説明し、自然の仕草はすごいでしょうと言ったら、すぐに持参していた参考書から「根曲がり竹」を見つけ納得していた。 次に、直径1cmと10cmの竹を出して見せて、それぞれ何年くらいの竹か? と尋ねた。 細い竹は1年、太い方は10年と答えが返ってきた。樹木とは違い、どちらも1年で成長したもので、使い道によっては1年で切る場合や、2、3年と年を重ねてから切る場合があると教えると、驚いていた。 が、これで良いのだ。竹の事は私たち竹のプロが知っていたら良い事なのだ。 知っても知らなくても良いことが、世の中には沢山あると思っている。 彼女はこれから学び、驚きと共に知識を得ていくだろう。 元気で勉強してくださいよ。 |