伊助のよもやま話


会長

今昔の美人

7月のうっとおしい空を見上げながら、烏丸通りを車で北上していた。
烏丸中立売の赤信号で止まっていると、隣に風のようにスーと大型のバイクに乗った美人が止まった。それはそれは、絵に描いたような風景が目の前に現れた。
サングラスをかけ、バイクの色に合わせたかのように黒と赤の服とマフラーの装い、靴もヘルメットも全て色を揃わせて、赤い手袋に細巻きの煙草を挟んでいる。右側は新緑に包まれた御所の門があり、その後方には東山の大文字が笑ってこちらを見ている。眺めている内に絵になるなぁと思い、じっくり見ていると青信号に変わった。
そのバイクは、又風のように走り去り、見る見る内に今出川を越えて見えなくなった。
これから先は、まっすぐに行って鴨川の堤をさっそうと走るのだろうか? その姿を見たかったが、私は目的地の病院にすごすごと向かった。
後でゆっくりと風景を思い出し、あれが現在の美人の姿か?長生きしていて良かったと思ったが、ふと昔の美人の姿を想像してみた――着物をから上げして、単衣(ひとえ)の帯をきりっと締めて、素足で離宮の下駄を履いて、一歩二歩遅れて歩く。
皆さんは今の美人、昔の美人の姿をどのように思われるでしょう。
これも世の移り変わり……。

私にとっては、もう二度と見られないと思われるちょっとした良い風景でした。


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