伊助のよもやま話
生き字引 組合の中で、私を生き字引と呼ぶ人がいる。 竹業界と組合に関係してから60年程になり、古い古い思い出ばかりだ。昔の事や古い事を参考にする時に、何があったのかよく聞かれる。 割合に覚えている方だと自負するが、肝心の聞かれたときに思い出せなくて、生き字引にならない事もある。 年のせいか、今は毎日毎日の出来事を頭に入れるのが精一杯で、見たこと聞いたことを忘れていくようにしている。いや、記憶にとどまらないのが現実だ。だから、長生きさせてもらっているのかも知れない。 長く生きていると記憶とお金が減っていく事に淋しさを覚えるが、何かが増える事はいくつになっても嬉しいものだ。お金と命が増えることの嬉しさは格別のものだ。 “雀百まで踊り忘れず”とはよく言ってあるなと……。 組合を設立して約50年余り、様々な思い出があるが、市場を設立したことが一大事業だった。そしてそれが成功し、順調に栄えている時は、良いことをしたなと我ながら嬉しかった。 ところが、「いずこも同じ夕暮れの……」が、当組合にもしのび寄ってきた。これからが本当の出番と思って、皆が協力し組合を活かせるよう頑張って欲しい。 今期に役員になった皆さんには、ご苦労ですが、皆が頼りにしています。また、何か聞きたいことがあれば聞いてください。 過去が役に立つ生き字引として、うまく答えられると良いが……。 |