伊助のよもやま話
欲張りは損をする 世の中に欲張りがいなかったら、景気が上がらない。が、それも欲張りすぎると後 がたたって損をする。株も然り。 ニュースを見ても、欲張った結果につながる話ばかりだ。 特に最近目立つのは、食に関するニュースがやたらと多い。食べることは、皆の一番の関心事だから取り上げやすい事もあるのだろう。牛肉に始まり、うなぎ、竹の子、お米など、まだまだ他にも ありそうだ。 牛肉の問題が報道されていた頃だったか、老舗の信用を強調するために創業三百年の格付けをされていた牛肉店の新聞広告があった。 そこで私は父の昔話を思い出した。これは筋違いかも知れないが、少しその話をしてみたい。 父が13歳で竹屋に丁稚奉公に上がり大正10年ころ年季明けとなるまで、その間には色々な事があったのでしょう。その苦労話をよく聞かされた。誰かに聞いてほしかったのでしょう、私も子供ながらにためになる話だと思い一所懸命に聞いた。 修行中にいろいろと失敗をしてひどく叱られた時、「牛肉を食わすぞ」と脅かされ、逃げ回ったという話を聞いたことがある。当時、肉を煮ると匂いがするので、近所の人が文句を言って付き合いをしなくなるくらいだったらしい。でも、内緒で河原の野立てで食べさせていたとも聞いた。 この話は父が丁稚時代の話だから、約百年前の話だ。牛肉が嫌われる風潮が残っていたとすると、三百年も前から牛肉を売っている店があったのかな? 新聞広告の創業三百年は父の話と辻褄が合わないなと、変なことを考えてしまった。余程、閑なんでしょうか。自分で自分を笑っています。 でも、昔の話ってためになると信じています。 こんな話も…… “丁稚 よろこべ しじみ汁” その意は丁稚は誰よりも後で食べるからシジミの身が残っている。 みみっちい話だけれど、目頭が熱くなってくる。 |