伊助のよもやま話


会長

素人玄人 しろうと くろうと

昔から“玄人裸足(ハダシ)”ってよく言われるが、今回は50年以上の経験のある私も驚いた。なぜ驚いたか、書きたくなった。
5日ほど前に、ひとりの年配の男性が入ってきて「茶杓を作る竹をください」と言ってそのあたりを見回して、いきなりその男性が「京都へ来てよかった。こんな色々な竹がある」と驚かれて、「生まれて初めて見る竹も多くありますね」と言われたから、「どちらから」ときく。「富山の少し山のほうです。20年ほど趣味で茶杓を作っています。京都へ来たら良い材料が色々あると聞き、思ったとおりでよかった」と喜んでおられる。「あなたは売るために作っておられるのですか?」ときくと、「知人や色々な人に差し上げるのです」との答え。プロではないと知り、倉庫に案内して「自分の良いものを探してみてください」と離れることにした。プロなら話は早いが、素人さんにじっと付いているのはやめにしています。
1時間ほどして声がかかった。見に行って驚いた。
それはそれは、どれも茶杓にピッタリで、これは玄人ハダシだなと瞬間思った。ゴマ竹の半分変色したものや、スス竹の身の厚いもの、芽のある樋竹(ひだけ=地下茎の先が地上に出て竹になったもの)とシボ竹の芽のあるもの、全部完璧ですとほめておいて、「ただゴマ竹が1本ありますが、これは曲がりにくいですよ」と言ったら、ポケットから自分の作った製品を何本か見せて「ここにゴマ竹があるが、私が曲げた」と言われた。私はこれに対して「あなたの地は雪国で、そこらの山で取ってこられたと思うが、そちらの竹は雪の重みで自分の身が折れないようにして育っているので、強いです。京都の竹はやさしいので同じようには行かないですよ」と教えておいた。
今申し上げたとおり、雪国の竹はフシが短く、本当に強いです。これは私の経験で申し上げます。竹が雪の重みを自然と知っているのです。
来られたお客さんの技術は、習ったものではなく、何十年の経験で作られたのでしょう。これには私らも負けます。私らも口ばかりではなく、技術を重ねて会得し、技巧に終わりはない。毎日毎日が勉強ですよとハッパをかける。


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