彦根仏壇や信楽焼など伝統工芸の商品を製造・販売する滋賀県、京都府の五社でつくる「関西伝統技法倶楽部(くらぶ)」が、四年計画で英国のデザイナーとともに商品を開発し、日本の伝統技術を世界に広める事業を始動させた。
メンバーはロンドンを訪れ、現地のデザイナーと話し合い、展示会やインテリアショップを視察して商品開発へのアイデアやヒントを収集した。
倶楽部は、彦根仏壇の井上仏壇店(彦根市)、信楽焼の丸滋製陶(甲賀市)、寝具の大東寝具工業(京都市)、和傘の日吉屋(同)、竹材の横山竹材店(同)で結成した。
六月に中小企業庁の「JAPANブランド育成支援事業」に選ばれ、約二百六十万円の補助金の採択を受けている。
事業は英国に住む日本人デザイナーと連携し、五社の伝統技術を生かして商品を開発する。
来年九月には、試作品をロンドンの展示会に出品し、その後、販売に発展させる。
各社の代表者ら六人は、今年九月下旬にロンドンを訪問。
現地のデザイナーとのワークショップで、代表者が、伝統技術をどんな商品に生かせるかプレゼンテーションをした。
ワークショップで各社のアイデアからデザイン性に優れ、実現性の高いもの約五十点を選出した。
現在、各社は来年三月の試作品完成に向け、制作に取り組んでいる。
井上仏壇店の井上昌一代表(45)は、仏壇の屋根部分「宮殿(くうでん)」の技術で、鹿のオブジェ制作や日用品の装飾を提案した。
井上代表は「海外の日本人デザイナーと伝統工芸技術の連携という新しい取り組み。成功例をつくり、発展させていきたい」と意気込んでいる。
(生田有紀)
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